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2011年9月16日金曜日
『はっぴぃさん』
今回のブックレビューは、10月にCROSSINGにて個展開催予定の小笠原浩二さんに「最近ちょっと元気をもらえた一冊」をご紹介いただきました。
『はっぴぃさん』荒井良二 偕成社
中年と言われる年齢になって、少し素直に振る舞えるようなった。
自分の作品について、ようやく「かわいいのが好き」「かわいい絵が描きたい」と言えるようになった。
音楽も以前は、テクノだ、ノイズだ、アンビエントだ、と聴いてること自体がカッコイイと思えるものを選んでいたような気がする(もちろん、今聴いても良いものもたくさんあるが…)。ところが今では、意識的に遠ざけていたJ-POPにも反応するようになり、「JUJU良いね~」「いきものがかり、ぐっとくるね」といった具合に、さらに演歌にも反応してしまう。
読書にしても、この本を読む自分が好きといった理由で、読んだのか買っただけで読んでいないのかさえ思い出せない難しい本がウチにある。
荒井良二の『はっぴぃさん』に出会った。絵本である。すばらしい。
困ったことや願いごとをきいてくれる「はっぴぃさん」を探して、二人の主人公が山の上の大きな石を目指す話である。一人の主人公は「のろのろなぼく」、もう一人の主人公は「あわてんぼうのわたし」。二人はそれぞれの性格が悩みごと。二人はなんとか山の上の大きな石にたどり着く。しかし、「はっぴぃさん」は一向にあらわれない。
あきらめかけた二人は対話をはじめ、「あわてんぼうはいっしょうけんめい」「のろのろはていねい」とそれぞれがそれぞれで良いということに気づく。そして、「はっぴぃさん」に会えたような…と二人は思う。
さがしてるときは見つからない。
私は、毎朝、絵を描いて、WEB上に投稿している。大切なことを被災地のみなさんに伝えたくて、投稿を始めたが、肝心の大切なことがよくわからない。大切なことをつかみたくて、つかみたくて今日も絵を描いている。
いつか、「はっぴぃさん」に会えたような…と言ってみたい。
小笠原浩二 芸術家志望。1965年生まれ。名古屋市栄 CROSSING にて、2011年10月15日(土)〜11月6日(日)個展「朝になったら」開催予定